AMADEUS HOTEL
【お客様の課題/ご要望】
・宿泊の滞在中に、このホテルでしか体験できないコンセプト&仕掛けを作りたい
・景色の良さを魅力的に伝えたい
・「思索」というテーマに見合うようにシンプルかつ哲学的な空間で統一したい







伊勢湾に接するリゾートホテルの計画である。劇作家ピーター・シェーファーによる戯曲『アマデウス』の構成は「2幕と31場」で成っており、これは「2つのセクション」と「31の場面」から成っていることを意味している。
本計画は「休息」と「思索」というテーマをベースに、2つのセクションに分けられた全体構成とし、「31の体験、場面」を設定した。休息として訪れるホテルであるが、そこで時間を過ごす度に様々な情景、シークエンスと出会うことで、非日常的な経験、思索に耽るシチュエーションをデザインしている。
【ご提案/解決策】
クライアントの哲学的なコンセプトを空間、グラフィックを通して誰もが体験できるホテルの在り方を目指した。それは空間において可能な限り「モノを無くす」ということ。それはアメニティやサービスなどではなく、周辺の景色、環境において日常にはない思考を巡らせるために空間の付加的要素を極力省き、あえて「減算のデザイン」を目指した。
シンプルかつミニマムなサインとしながらも、掘り込み加工とすることで陰影により表情が大きく変わる「さりげない存在感」のあるサイン計画とした。
伊勢湾の水平線と空を切り取るエントランスアプローチ。塩害を防ぐための壁とスラブの空間構成により周辺環境に溶け込むような空間とすることで内外の境界をシームレスに接続させる。
真鍮切文字によるサイン計画。空間イメージに調和するブランディングの一環としてオリジナルのフォントデザインとし、細部までブランドの世界観作りに徹底的にこだわった。
ゲストルームのインテリアには地産のコンクリートの骨材や伊勢杉を用いて、手触りや質感などの素材感を重視するとともに、モノを極力省きミニマムなテイストとすることで「空間の本質」という体験の場を創出した。
各ゲストルームには地元の製作所によって作られた錫製の急須やティーカップなどをご用意。触れて茶を淹れるという振る舞いから風土や文化を体験してもらうきっかけづくりを図っている。
グラフィック シートを用いた壁面デザイン。空間とグラフィックが調和し一つのブランドの世界観を確立するように丁寧に徹底的にこだわり抜いたブランディング設計である。
案内パンフレットをはじめ、名刺、紹介カードなどの販促物もトータルでデザイン。